メディア掲載

「第69回沖展賞」受賞者インタビュー(3)


沖縄県内最大の総合美術・工芸の公募展「第69回沖展」(主催・沖縄タイムス社)は18日から4月2日まで、浦添市民体育館で開催。一般応募作品の最高賞に当たる沖展賞を受賞した9人に、制作した背景や今後の抱負を聞いた。(紙面掲載日:2017年3月15日 文化面)

2色で秋の奥行き表現

「新古今和歌集」秋の歌2首を、2色でつくる横長の紙(縦60センチ、横178センチ)に躍動感と変化をつけて奥行きを表した。書き出しの3分の1は白紙に身近な秋風の風景を詠んだ詞。残り3分の2には月と紅葉をイメージした山吹色の染め紙に、大きなスケールでゆったりと筆を運ぶ技法を取り入れた。

山吹色の紙からイメージをふくらませて歌を選んだ。鑑賞者に秋の風景の遠近感を感じてもらおうと心掛けた。墨汁の含みの乏しい筆でかすれさせる渇筆の技法も使った。

王華

2011、15年に奨励賞に選ばれたものの沖展賞の知らせに驚かされた。「まさか沖展賞をとれるとは夢にも思っていなかった」と感激した様子。書いた分だけ力になる-。後悔せぬよう何度も書き直して出した作品が審査員の評価を得た。

渡慶次喜代美
とけし・きよみ
さん
1958年嘉手納町生まれ、嘉手納町在住。

五つの版で色彩鮮やか

石垣島の象徴、カンムリワシを十三夜の月が照らす。頭に輝くのは琉球国王のタマンチャーブイ(玉冠)。周りの島バナナは羽にも見え、威風堂々とした姿を引き立てる。

表現したのは「カンムリワシの強さと母なる月の優しさ」。別々に制作した五つの版の調和をうまく取ることで奇麗な“ハーモニー”を生みだし、念願の賞を射止めた。

生まれ島、石垣でシルクスクリーンを始めて6年目。八重山にこだわり、「昔の人々に洗練された思考や文化を、俺の頭を通して具現化したい」との思いで制作を続ける。

カンムリワシ

2015、16年には奨励賞を連続受賞。いずれも八重山の動植物や風景、文化をモチーフにした。大切にしたいのは、この地で先人が受け継いできたもの。「新しいと古いは決して対極じゃない。隠れた柄をもっと見つけて自分なりの解釈で作品にしたい」

池城安武
いけしろ・やすたけ
さん
1980年石垣市生まれ。同市在住。