「第69回沖展賞」受賞者インタビュー(5)
沖縄県内最大の総合美術・工芸の公募展「第69回沖展」(主催・沖縄タイムス社)は18日から4月2日まで、浦添市民体育館で開催。一般応募作品の最高賞に当たる沖展賞を受賞した9人に、制作した背景や今後の抱負を聞いた。(紙面掲載日:2017年3月15日 文化面)
五つの版で色彩鮮やか
石垣島の象徴、カンムリワシを十三夜の月が照らす。頭に輝くのは琉球国王のタマンチャーブイ(玉冠)。周りの島バナナは羽にも見え、威風堂々とした姿を引き立てる。
表現したのは「カンムリワシの強さと母なる月の優しさ」。別々に制作した五つの版の調和をうまく取ることで奇麗な“ハーモニー”を生みだし、念願の賞を射止めた。
生まれ島、石垣でシルクスクリーンを始めて6年目。八重山にこだわり、「昔の人々に洗練された思考や文化を、俺の頭を通して具現化したい」との思いで制作を続ける。
2015、16年には奨励賞を連続受賞。いずれも八重山の動植物や風景、文化をモチーフにした。大切にしたいのは、この地で先人が受け継いできたもの。「新しいと古いは決して対極じゃない。隠れた柄をもっと見つけて自分なりの解釈で作品にしたい」
池城安武 さん- 1980年石垣市生まれ。同市在住。