紙面掲載

沖展72nd exhibition 沖展賞受賞者インタビュー(中)

 県内最大の総合美術・工芸公募展、第72回「沖展」(主催・沖縄タイムス社)で一般応募の最高賞に当たる「沖展賞」を受賞した6人に、制作の背景や抱負を聞いた。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、「沖展」は中止されたが、入賞作品74点を展示する「特別展」を9月に那覇市のタイムスビルで開催する。(沖縄タイムス紙面掲載日:2020年3月19日文化面)

木工芸 屋部忠さん 独習技術に高い評価

 最近の建築物では目にする機会が減ってきた欄間での応募に木工芸部門の会員の一人から「欄間は初めて」と声を掛けられたという。中央に彫られた桜を挟む「麻の葉」を木で組んだ意匠が印象的だ。組子や彫、塗装などの技術に高い評価が寄せられた。

 「麻の葉」の作り方は県内に教えてくれる人がいなかったため、県外からサンプルや資料を取り寄せて独習したという。「作っているより直している方が多かった」と振り返り、応募3回目での沖展賞を「結果を残せた」と喜んだ。

 建物の内装を手掛ける工務店に勤務しながら制作に励んだ。建具や家具材料や作業場所を使わせてくれた社長の支えに感謝する。

 「若い人には負けたくないし、先輩に追いつきたい」

 建具や家具の資格も取得している。「技術が向上すると仕事の幅も広がる」と沖展への出品を続けるつもりだ。「来年は家具で挑戦しようか」と意欲を新たにした。

       
屋部忠 やぶ・ただし さん
 1972年浦添市生まれ、同市在住。
 

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