「第69回沖展賞」受賞者インタビュー(9)
沖縄県内最大の総合美術・工芸の公募展「第69回沖展」(主催・沖縄タイムス社)は18日から4月2日まで、浦添市民体育館で開催。一般応募作品の最高賞に当たる沖展賞を受賞した9人に、制作した背景や今後の抱負を聞いた。(紙面掲載日:2017年3月17日 文化面)
モノ作りの原点に回帰
ケヤキを使い、芭蕉布を思わせる布を張った受賞作「応接テーブル」。長方形のテーブルの4本の脚には、唐草と渦を彫り込んだシンプルな造りで落ち着いた印象を与える。「モノ作りの原点に返ろうと、沖縄工業高校時代に作った布張りテーブルに挑んだ。生地の色も雰囲気も一致した、いい組み合わせ」と喜ぶ。
「本業は彫刻家なんよ」と早口の関西弁で話す。高校卒業後、神社仏閣や家具の装飾彫刻の仕事に就き、大阪府で51年ほど生活した。「完璧な作品は作れない。受賞はうれしいけど、気になる所もある」と職人気質をのぞかせる。
木工芸では奨励賞、うるま市長賞と3年連続の入賞。美しく見えるよう、木の成長する方向を見極めてかんなをあて、彫り込む。「彫刻でも入賞したい。木工芸が先に行っているからね」と笑う。
與那嶺勝正 さん- 1943年南城市生まれ、同市在住。