沖展71st exhibition 沖展賞受賞者インタビュー(中)
沖縄県内最大の総合美術・工芸公募展、第71回「沖展」(主催・沖縄タイムス社)が23日~4月7日、ANA ARENA浦添(浦添市民体育館)で開催される。(沖縄タイムス紙面掲載日:2019年3月21日文化面)
工芸・陶芸 石倉一人さん 造形と釉薬の融合探究
これまで公募展で評価されてきた、凝ったデザインのマンガン釉(ゆう)の作品から一転、シンプルな形の「三彩壷」で2度目の沖展賞を受賞した。「これまでと違う作風なので、うれしいと同時に驚いている」と話す。
日常の仕事の中で、伝統的な調合の三彩でも焼き方で色の違いを出せることに気付き、その可能性に関心が膨らんだという。
沖縄の焼き物では、造形的にはくびれがあり、三彩は釉薬を点打ちで施すのが一般的だが、釉薬の流れと色をより美しく見せるため、シンプルな丸い壺をひき、ボーダー状に釉薬をかけた。焼成や徐冷の方法も工夫し、「自分でも不思議な」色が融和した作品が完成した。
今後も「フォームと釉薬が合わさって生まれる美しさを探究していきたい」という。「伝統を踏まえつつ焼き物の幅を広げること、それが僕ら若い世代のやるべきことだと思う」と前を見据えた。
いしくら・かずと さん- 1979年南城市生まれ。同市在住。