紙面掲載

　県内最大の総合美術・工芸公募展、第７２回「沖展」（主催・沖縄タイムス社）で一般応募の最高賞に当たる「沖展賞」を受賞した６人に、制作の背景や抱負を聞いた。

　新型コロナウイルス感染拡大防止のため、「沖展」は中止されたが、入賞作品７４点を展示する「特別展」を９月に那覇市のタイムスビルで開催する。（沖縄タイムス紙面掲載日：2020年3月18日文化面）

絵画 石川哲子さん　自分自身の人生投影

　２人の子育てを終えた５０代の初め、老後の生きがいになればと絵を描き始めた。

　地元の文化祭への出品作が沖展会員の知念秀幸さんの目に留まり、指導を受けるようになったのが４年前。その後は初出品したかりゆし美術展で最高位の県知事賞を射止めるなど力をつけてきた。作品の構図や色使いなど、対象を見たままに描こうとしていたが、自分なりの表現を考えるようになったという。

　沖展受賞作で描いたユリカモメは、都会の喧噪（けんそう）を遠目に見つめる自分自身。泥水から美しい花を咲かせるハスは、病を乗り越えてきた自身の人生を投影した。

　「雲の上の存在」だと考えていた沖展賞。パネルの制作や作品の運搬に労を惜しまない夫と共に喜んだ。周囲に支えられ「もっと頑張ろう」と気持ちを新たにしている。

       

石川哲子（ いしかわ・てつこ ）さん

　１９５０年うるま市石川生まれ。同市在住。