沖展72nd exhibition 沖展賞受賞者インタビュー(中)
県内最大の総合美術・工芸公募展、第72回「沖展」(主催・沖縄タイムス社)で一般応募の最高賞に当たる「沖展賞」を受賞した6人に、制作の背景や抱負を聞いた。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、「沖展」は中止されたが、入賞作品74点を展示する「特別展」を9月に那覇市のタイムスビルで開催する。(沖縄タイムス紙面掲載日:2020年3月19日文化面)
書芸 仲宗根司さん 躍動感ある書目指す
唐代の詩人「裴迪(はいてき)」の自然を詠った五言絶句4首を題材に選び、沖展賞とともに準会員への推挙も受けた。
5年ほど前に亡くなった師匠・泉泰光さんの「古典の臨書を通して運筆のリズム、線質を磨く」、「いろんなジャンルと交流して感性を磨け」との教えを胸に刻み「少しは恩返しができたかな」と感謝した。
「書は白と黒なのだけど、いろいろな表現ができる。文字を媒体にした線の芸術なんです。読まないでいい。墨の濃淡や潤渇、余白のバランスなど、絵画的に見てもらいたい」と話す。「やり直しができないし、二度と同じものは書けない」ところも魅力だという。
「続けてこられたのは家族のおかげ。また、指導していただいた多くの先生方、書の仲間がいなければここまでこれなかった」と支えに感謝する。
唐代の書家「顔真卿(がんしんけい)」の味わいの深い線質に心が引かれる。「書は行き着く先がない。強い線で躍動感のある書を目指したい」と意欲的だ。
仲宗根司 さん- 雅号は泰碩(たいせき)。1963年那覇市生まれ、沖縄市在住。