沖展73rd exhibition 沖展賞受賞者インタビュー(下)
県内最大の総合美術・工芸公募展、第73回「沖展」(主催・沖縄タイムス社)が19日~4月3日、ANA アリーナ浦添(浦添市民体育館)で開催される。
一般応募の最高賞に当たる「沖展賞」を受賞した7人に、制作の背景や抱負を聞いた。(沖縄タイムス紙面掲載日:2022年3月17日文化面)
漆芸 前田春城さん(42) 作品と共に歩んで成果
受賞作の「片身替箱『夜の空に眠る川』」はタイトルが先に決まり、そこからデザインを考えたという。「構想通りに作っていても、ある時から作品が自立し、自分と作品が共同で作っていく気持ちになる。この作品を見ることを必要としている人がいる、という感覚があった」と話した。
琉球の歴史や漆の文化、受け継いだ技などを大切に思う。沖展賞や準会員への推挙を喜びながらも、「やるべきことをしっかりやることに変わりはない」と気持ちを新たにしている。
漆器の修理の仕事も手掛けている。依頼してきた人の思い出を受け止め、心を込めて直していく。「依頼者のお子さんが『お母さんがこんなに喜ぶなら、漆の職人になる』と言ったそうで、うれしかった」と手応えを感じている。
前田春城 さん- 1980年大宜味村生まれ。豊見城市在住。