第76回沖展 沖展賞受賞者インタビュー
県内最大の総合美術・工芸公募展、第76回「沖展」(主催・沖縄タイムス社)が15~30日、ANAアリーナ浦添で開催される。一般応募の最高賞に当たる「沖展賞」の受賞者8人に、制作の背景や抱負を聞いた。(沖縄タイムス 2025年3月12日文化面)
漆芸 玉榮雅代さん(75) 真珠と螺鈿 宇宙観表す
壮大な宇宙観を表した漆器「原始乃輝」で沖展賞を獲得した。
作品は乾漆で、核に真珠を、無数の星を螺鈿(らでん)で表現した。
麻や和紙を張り合わせ、貝を一枚一枚張り付けるなど、繊細な作業をこつこつと続け、12年がかりで完成にこぎ着けた。

漆に携わるようになったのは、県内職人の漆器を扱う店舗を構えた2012年から。
漆器の良さを伝えようと、販売するだけではなく、自らも制作しようと、浦添市美術館のサークルで学び始めた。
さらに、漆器を給食で使うよう県や浦添市などに働きかけるなど、県内漆芸界を盛り上げようと尽力。
最近は若い職人が増え、今後に期待が持てるようになったと話す。
漆を広めたいという気持ちが制作の原動力。
「沈金などこれからやりたいことはたくさんある」とほほ笑んだ。

玉榮 雅代 さん- 1949年東京都出身、浦添市在住