第76回沖展賞 受賞者インタビュー
県内最大の総合美術・工芸公募展、第76回「沖展」(主催・沖縄タイムス社)が15~30日、ANAアリーナ浦添で開催される。一般応募の最高賞に当たる「沖展賞」の受賞者8人に、制作の背景や抱負を聞いた。(沖縄タイムス 2025年3月12日文化面)
書芸 知念一正さん(37) 潤渇の対比 「ゆれ」体現
14度目の挑戦でついに沖展賞を射止めた。
10年以上前に選外に終わった王維の七言律詩を大胆に書き上げた。
高校時代の書道部の顧問でもある我喜屋明正師匠の指導を受けながら、約半年間作品作りに向き合ったという。
知念さんの書は「渇筆」とされる“かすれ”を特徴としていたが、今回はにじみも意識し、立体感と空間の動きが深まった。
潤渇のコントラストは白を一層鮮やかにし、線質や濃淡の変化で作品にリズムを与える。
それぞれの行には、追い求めていた心地よい「ゆれ」がにじみ出た。

普段は高校の書道教諭として勤務。
学校や自宅で毎日3~8時間ほど作品作りに励んだ。
書道部員の生徒らも喜んでくれたといい、「満足することなく、もっと精進していい書を追求したい」とはにかんだ。

知念 一正 さん- 1987年伊江村出身、石垣市在住